2012年 02月 06日

建築家として、東京から富山にもどって、はや7年。

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東京での経験をふまえて、富山で建築をつくることを意識し、自分なりに何とか最初にカタチにしたのが、自宅の「ガラスのピラミッド」でした。
ここ北陸、富山にふさわしい、建築をつくろうとしたとき、僕の頭の中には五箇山の合掌造とか散居村のアズマダチなどが浮かんでいた。 合掌造については白川郷や五箇山に行き、屋根勾配の角度が約55度から60度であることや、家の周りに水をためて堀にして、そこで雪を溶かすことなどを知った。
そんなことから、富山に建つ自宅の外観のイメージはしぜんと、四角いカタチではなく、雪を落とすための勾配屋根をもつものとなった。

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また、北陸の暗い湿ったイメージを取りさろうとして、光を多くとりいれるため 思いきって表層はガラス張りにした。富山の友人の話を聞く時、どんな家に住みたいかと聞くとだいたい「明るい家」がいいといわれた、から。
想像するに、厳しい冬に対するため、熱損失の大きいガラス窓をなくすことで、結果的に暗い家に住んできた記憶の反動と思われた。昨今、雑誌等をみれば、ガラスで大きくソトにひらき、白くてピカピカした住宅がたくさん掲載されている。富山でだって、そんな家に住みたい! 若い世代はそう思うのは無理もない事だと思う。
そうして、いくつかの自分なりの表現を試みた「ガラスのピラミッド」は建築家の自宅/officeとして設計された。その後、陶芸家の嫁をもらったことでアトリエを増築し, 彼女のための工房も併設した。さらに、光あふれる場を展示空間に利用し、GALLERY・ガラスのピラミッド としてopen。さまざまな作家や、アーティストを招き、イベントやライブを開催している。
今、この住まいは, 建築設計のoffice、陶芸のアトリエ、ギャラリー、自宅 の4つの看板をもち

「LIVE - くらす」 「WORK - つくる」 「MEET - つどう」

その多彩なプログラムをうけいれる、人々が集まる場としてある。
あたらしい富山の住まいを目指して、この住宅は、JIA 日本建築家協会優秀建築選2006、第45回富山県デザイン展励賞、第36回富山県建築賞をいただいた。県内外から評価を得た事はとてもうれしかった。

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その後、3年ほどして母の住まいを裏の敷地に設計することになった。
この住まいは、幸いにも美しい竹林に面 しており、借景としてそこへ大きくひらいた一人暮らしのための住宅を考えた。
「シンプルな生活をしたい」という建主の希望から、最低限の機能と大きさをもった住空間を目指した。
そこで思い浮かんだのが京都・東福寺塔頭「龍吟庵」。畳の間の外周は縁側から枯山水の庭に開いた、日本の住居の原形。
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その龍吟庵に習い、八畳間を田の字にならべコア・エリアとし、そのまわりを半間の場、縁側や廊下が取巻くつくりにした。 竹林に対しては、縁側によりひらき、玄関からは奥まで廊下がのびる。  その半間の場は空気の緩衝地帯/バッファーゾーンとなり、 外の環境が、生活の場/コアエリアに直接 及ばないようにした。
このように 小さなお堂のようなこの建築は「入れ子」の構成により人にやさしい建築であり。目の前にひろがる竹林に恩恵を受け続ける、慎ましい住いである。
「竹林の見える家」にて、 第42回 中部建築賞をいただき、プリミティブな建築がもつ価値は、普遍的であり、広い共感を得られる事にあらためて気付いた。
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2年前に富山らしい敷地で住宅を設計する機会を得た。
敷地は上市町の剣岳が見える田園風景の中にあった。その周辺環境を受け入れるように、立山連邦の稜線にそって、平屋で細長いこの建物を、配置した。全ての部屋から剣岳が見え、壮大な立山連邦に対峙する建築とした。
建物の長さはガレージまで入れると30m。その内部に長手方向に連続して、同じ家型の壁をたてた。壁には個々に必要な開口をあけ、様々な色彩 やパターンがほどこされ, 通りすぎるゲートとして、その場々のシーンを豊かにする。連続する個性的な壁の存在は、建物が長く 移動距離があるからこそ生活を楽しくする。 そんな壁たちを通 りすぎながら、南の窓からソトをみれば, この土地のシンボルである山々の広がりが、いつもあることに気づくのである。
母の家につづき既成の家型をつかった「上市の家」は昨年、第42回 富山県建築賞をいただいた。
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その後、たずさわった建築は20件をこえ、さまざまなクライアントに出会い、その希望をカタチにしてきた。 その答えはまさに、十人十色。それぞれの住いのカタチを見いだす作業でした。
継続して考えてきたことがある。それは、東京での修行時代、わが師、建築家/室伏次郎のもとで教わったことの延長線上にある。 自宅のガラスのピラミッドは、その影響を大きく受け、なんとかカタチにした僕にとっての建築のはじまり。 キーワードがいくつかある。
空間をつくる原形、光、ソトへひらく、アノニマスデザイン、南を指向する 廃墟のように用をすてた自由な建築、などなど。 理想としてのイメージ。
それは、結果として できあがる建築の空間に集約され、品格や自由さをあらわす。
洗練、美しいプロポーション、計算されたディテールなどとは無縁で、あるがままの環境と共生し 静かで素朴なソトへとつながる場をもつ。豊かな体験を保証する空間をもつ建築。
たとえば、住宅という建築の場合、それが本質的によい住いだと信じています。 ここ富山に根をおろした者として、この土地、この地域に根差した表現を探す。今はまだ、そんな長い旅の途上です。
 
 
 
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by 2009mizuno | 2012-02-06 13:17 | エッセイ | Comments(0)


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