「花火のみえる楽しい住まい」を希望された。たしかに敷地は、庄川と新湊の、川と海のふたつの花火がみえる場所にあった。
一方周辺は、郊外の住宅地の中ではあるが、南には大きな倉庫がせまり影をおとし、背後には隣家がせまる、良好とはいえない環境であった。
その地に、花火を見る物見台をもつ、中庭を中心に生活する光あふれる住まいを提案した。
施主からの要望、高いセキュリティーから、外装は黒い鋼板のよろい貼り。開口部は必要以上につくらず内部が見えないようにし、ソトへは閉じた要塞。暗くなったその分、建物中心にヴォイドをつくり、そこから光をえるカタチにした。
敷地に高低差があったので、てっぺんの物見台まで、道路レベルのガレージから、1F寝室、2Fの居間、テラス、小上がりの和室、ロフトなど床レベルがさまざまに変化する。そのなかで居間とテラス、子ども室のロフトがフラットでつながり不思議な感覚的を感じる。物見台は地盤面の一番高いところに、できるだけ階高を高くした上にのせた。2方向の花火が見えるよう、それぞれの方向に大き窓をつけた。
この住まいは、その中心に庭/ソトがあり、そこから入るさまざまな表情の光を各部屋で楽しめる。ぐるぐると中庭のまわりをめぐり、外になったり中になったり、時には物見台で花火を見たりして、ひとつながりの風景のなかで光の表情がかわる、そんなふうに多彩なシークエンスが楽しめる場であることを期待した。
道路レベルのガレージから、もっとも高い物見台まで
敷地に高低差があることを利用して 内部は床レベルがさまざまに変化する
高いセキュリティーのイメージから外装は黒い鋼板のよろい貼り
内部のことがわからないよう、開口部は必要以上につくらず
中庭から光をえるような構成
2Fの動線はグルグルと中庭のまわりをまわり 外になったり中になったりして
シークエンスが多彩に変化することを期待した